2019年11月例会報告

日時:11月22日(金)18:30~21:00

会場:ロイヤルベルズ諫早

テーマ:日本一新鮮で美味しい魚を提供するために~らしくない漁師の同友会での学び~

報告者:福栄丸 代表者 渡 慎吾 会員(五島支部)

渡さんの報告は、漁師らしくない考え方、漁師らしくない見た目、漁師らしくない経営への思いと、中学生時代の悲しみと苦しみの思いの中での歩みを交えたものでした。

学生時代の希望する職業は、医師だったそうです。しかしながら父親から進学させる余裕が無いと言われ、貧困の悔しい想いの中で高校を卒業し、卒業後は家業の漁師を継ぎます。創業者の祖父、父と漁に出ていた2001年、22才で経理担当となり売上金の全てが消費され手元に何も残っていない経営状態を知り、このままでは廃業するかもしれないと思い、問題解決を進めます。運転資金確保の為に水揚げ金の一部を天引きしていきますが、父の理解が得られず、周りの社員さんとの関係性など一人で改善していくのが辛い時期もあったようですが10年後、20年後のビジョンを想い描き乗り越えてこられたようです。

そんな時、人の心は「理屈ではなく気持ちを伝える」ということが大切であることに気づかれ、数年かかっても気持ちを伝えていくということを実践されたそうです。学生時代の悔しい想いと、漁師で日本一になるんだという思いが力の源であり、心の支えだそうです。

経営理念をもって収入を増やすために商品の差別化、魚の締め方や締めた後のうまみ成分などの分析を研究所と一緒に研究し、それを数値化するという漁師らしくない考え方を実践されて商品価値を高め、魚そのものの単価を上げて収益を上げているそうです。漁師となって23年、目標と目的をしっかり持って経営されていると思いました。

また、企業変革支援プログラムで自己診断し、強み弱みを把握しステップアップされている所や、経営理念や経営計画をつくり、実践し社員さんと共有しながら日本一美味しい魚を提供し、誰もが幸せになることを願っていること。ブレない思い、常識にとらわれない考え方の先に道はあること。漁師らしくない漁師さんの経営哲学、他の業種でも通じるということを実感させていただきました。

文責 諌早支部 鐘ヶ江 秀美