2020年8月例会報告

日時:2020年8月19日(水)

テーマ:『わがまちの未来と、地球の未来SDGs』~自分たちで「まち」をデザインする~

報告者:山口純哉氏 / 長崎大学准教授

Zoomを用いた完全オンラインの例会でした。
通常通り皆で集まる例会が恋しい所ではありますが、Zoomならではの点として、移動が無いため参加者も多く、10名前後のゲストの方にもお集まり頂きました。
報告者は長崎大学准教授の山口純哉氏。
地域経済の専門家として書籍も出版されており、全国のまちづくりに関わったご経験からユニークな事例を数多く聞け、学びや気付きの多い報告でした。
重要な事は『まちづくりは行政のやる事、というのは幻想である』という事でしょうか。
そもそもこれが正しいのであれば、日本は今頃もっと豊かなはずです。
某市の全職員に対し「市民と一緒に取り組もうと仕事してますか?」というアンケートに「はい」と回答した職員は約1割だったそうです。
街の課題解決も、行政を巻き込むにも、まず私たちで行動する。ここがスタートラインです。
香川県高松市丸亀町商店街の取り組みは中でも興味深いものでした。
商店街衰退の理由を大手の進出や交通網の変化など外的要因で終わらせず、「消費者のニーズに応えられていない商店街を変える」と内的要因にフォーカスし、議論をスタートさせます。
例えば土地を60年間定期借地で借り上げ、まちづくり会社を起ち上げ、自分たちの理想とする再開発を進めます。
その結果、店舗・住居・病院がバランスよく配置され人が集まる「コンパクトシティ」を実現しています。
「ソーシャルビジネス」という言葉にも注目すべきです。
例えば多くの地域のNPO法人では資金の問題、人手の問題で活動が思うように進まないというデータがあります。
まちづくりを「ボランティア」でなく「本業」に変えていく必要があります。
支援やサービスを有償にしていくなど、これまでの固定概念を捨てたアイデアが必要です。
「経済なき道徳は寝言」と、二宮尊徳の言葉を引用されていました。
そんな山口氏から見て、諫早市と大村市は生活圏も近く、もっと連携すべきだそうです。
行政区が違う、というだけでうまく連携できておらず大変勿体ないと。
地域と地域が手を取り合う事も、これからのまちづくりの必須課題と言えます。